定時決定における保険者算定の基準の追加
(H23.6.12更新)
今年は、平成23年7月1日から7月11日の間に健康保険・厚生年金保険の月額算定基礎届提出し、提出した標準報酬月額により1年間の保険料が決定されます。
しかし、定時決定の方法によって報酬月額を算定することが困難(病気などで3ヶ月間報酬がない場合)又は著しく不当である場合は、保険者(年金事務所や組合等)が報酬月額を決定します(保険者算定)。この「著しく不当である場合」とは、従来、原則として①給与の遅配や遡り昇給、②休職、③ストライキの3つの場合に認められてきましたが、平成23年4月1日からこの3つの要件に加えて、「業種や職種の特性から、算定時期の4月〜6月までの報酬額がその他の時期と比較して著しく変動するような場合」も、保険者算定を行うこととされました。
これは、業種や職種の特性上、例年4月〜6月が繁忙期に当たるため、4月〜6月までの期間中の残業手当等が、他の期間と比べて多く支給されることなど、例年季節的な報酬変動の起こることが想定されることをいい、単年度のみ業務の一時的な繁忙による報酬の増加する等は対象外となります。
例年4月〜6月に報酬の変動が予想される業種等の例
① 4月〜6月が繁忙期になる業種
・ 4月〜6月の時期に収穫期を迎える農産物の加工の業種
・ 夏に売り上げが上昇する商品の製造を4月〜6月に増加する業種
・ 取り扱う魚種の漁期により加工が4月〜6月に上昇する水産加工業等の業種
・ ビルメンテナンス等が年度末(3月〜5月)に集中する清掃・設備点検の業種
・ 田植え時期の準備等で4月〜6月残業が増加する農業関係の業種(農業法人等)
・ 4月の転勤、入社、入学に合わせて業務が増加する引越し、不動産、学生服販売等
② 4月〜6月が繁忙期になる部署
・ 業種を問わず、人事異動や決算のため4月時期が繁忙期になり残業代が増加する総務、会計等の部署
③ 4月〜6月の報酬平均が年間の報酬平均よりも低くなる業種
・ 冬季に限定される杜氏、寒天製作業、測量関係等の業種
・ 夏・冬季に繁忙期を迎えるホテル等の業種
等の様々な業種等が考えられる。
平成23年4月1日追加 定時決定における保険者算定の要件・内容
①今年4月〜6月の月平均報酬額から算定した標準報酬月額(通常の定時決定(算定基礎)の方法による)
②過去1年間(前年7月〜今年6月までの間)の月平均報酬額から算出した標準報酬月額
この①,②の間に,2等級以上の差が生じ,その差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合が対象となります。
このとき、保険者による算定によって,②の過去1年間の月平均報酬額から算出した報酬月額(等級)となります。